EL120形
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 2015年登場。名鉄では貨物輸送廃止後も、保線・工事列車牽引用に機関車が残存し、1990年代には特別保全工事も施行しつつ使用してきたが、いずれも製造から相当の年数が経過し老朽化が課題となっていた。これら機関車を置き換える目的で製造された機関車がEL120形であり、1986年製の西武鉄道E31形以来、大手私鉄が製造した電気機関車としては実に29年ぶりの新型車両である。既存形式に比べて車番が若くなっているが、これは同車導入が名鉄の始祖である愛知馬車鉄道の創立から120年になることに起因する。車両は東芝製で、同時期に東芝がJR貨物向けに製造しているEH800形に類似した前面を有しているが、こちらは全長12mのD級電機となっている。車体は普通鋼製で、既存の機関車が「メイテツブルー」と称される青色を基調としているのに対しこちらは名鉄の象徴ともいえるスカーレットを基調としており、ステンレス製のラインをアクセントに配している。前面は前照灯・尾灯の他に保線作業時等に使用する補助灯を備えるが、いずれもLED灯が採用されている。駆動方式はWNカルダン駆動方式、制御方式は2レベルIGBT-VVVFインバーター制御方式で、機器類は既存の旅客用車両との共通性が図られている他、万一の故障に備えて冗長性も確保されている。旅客車では床下に配架するこれら機器を車内の機器室に設置することで、運転時の扱いも極力旅客車両と揃えられた。この他主幹制御器も同じく右手ワンハンドルマスコンが採用されている。制動は全電気指令式ブレーキとなっているが、貨車は従来通り空気ブレーキのままで、このためブレーキを読み替える装置が床下に搭載されている。また、単機及び重連時の最高速度は100km/hだが、貨車牽引時は45km/hに速度が制限されるため、性能切り替えスイッチを搭載する。この他定速運転も可能であり、保線作業時に5km/hでの定速運転が行えるようになっている。尚、同車導入に合わせて貨車には制御線の引き通しがなされており、重連時の他貨物牽引時も2両での総括制御が可能となった。同形式は2015年1月末に甲種輸送され、翌月より試運転を始めているが、甲種輸送前の試運転にて東芝府中製作所に保存されているEF65 535号機との並走試運転が行われたことは特筆事項と言える。5月以降順次運用に投入されるが、総括制御により省力化が図られることから、この2両で既存の機関車を全て置き換えることが計画されている。

 2015,04,25 舞木検査場