KTR8000形
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 1996年登場。老朽化していた観光用車両キハ1000・2000形「レインボーリゾート」(元キハ58系)及びJR車両で運転されていた特急「エーデル丹後」の置き換えを目的に導入された特急型車両であり「タンゴディスカバリー」の愛称を持つ。車体は前頭部がやや膨らんだ曲線基調のデザインとなっており、増解結に対応すべく前面にはプラグ式の貫通扉を備えている。車体色は「丹後の海と山」をイメージしたエメラルドと白の2色で、波型の塗り分けとなっている。同車は2両で1編成を組んでおり、富士重工業で5編成10両が製造されたが、これはKTR8000番台の2編成及びKTR8010番台の3編成に大別することができる。前者はブレーキ読み替え装置を搭載することによってJRの電車特急と併結しての走行が可能となっており、従来よりJR183系の特急「北近畿」に併結していた「エーデル丹後」の運用を踏襲することが可能となっている。いずれも出力330PSの機関を1両あたり2基搭載し、双方の併結運用も可能となっているが、それ以外の形式とは通常併結運転は行えない。車内は普通車のみのモノクラス構成であり、KTR001形のようにハイデッカー構造でもないが、シートピッチは1050mmと一般的な特急型車両よりも広く、シートカバーに特産の丹後縮緬を使用する等地域の特色を織り込んでいる。また豊岡方の運転台後部は立ち席スペースとなっており木製の手すり・テーブルが設置されている他、その部分だけ窓が大型化されており、前面のみならず側面も良好な眺望が可能となっている。サニタリースペースは西舞鶴方に集約されているが、KTR001形と違ってハイデッカー構造ではないことから洋式トイレに関しては車いす対応型となりバリアフリーに貢献している。前述のとおり2連5本10両の陣容のKTR8000形は、1996年のダイヤ改正より愛称の「タンゴディスカバリー」を列車名とした特急として新大阪〜久美浜・豊岡間で運行を開始した他、自社線内の有料急行にも使用される等北近畿タンゴ鉄道のフラッグシップとして台頭した。前述のとおりKTR8000番台は183系「北近畿」との併結も行われたが、1999年のダイヤ改正で「タンゴディスカバリー」が京都発着となったことからその時点で終了している。その後はATS-P設置に伴う運用区間の一時変更(再度新大阪発着となった時期がある)、2011年のダイヤ改正における愛称名変更を経て、現在は京都〜久美浜・豊岡間の「はしだて」及び京都〜東舞鶴間の「まいづる」を中心に、社線内特急「たんごリレー」、一部の快速・普通列車にも使用されている。途中駅での増解結が行える同車の特性を活かした運用となっているが、このうち「まいづる」は全区間JR線内、且つ電化区間となっており、特筆事項となっている。KTR001形が定期運用から離脱した現在、常時稼働する唯一の特急型車両であり、引き続きフラッグシップとしての活躍が続いている。

 2013,07,20 野田川