デオ900形
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 1997年登場。非冷房かつ走行機器類が老朽化していたデオ600形の置き換えと、同年の京都市営地下鉄烏丸線延伸に伴い利用客の減少が予想された鞍馬線の活性化を目的に導入された車両であり、「きらら」の愛称を持つ。それまでの車両同様武庫川車両工業で製造されているが、本形式は「紅葉を観るために乗りに来ていただく車両」を車両コンセプトとして、トータルデザインは近畿車輌デザイン室により仕上げられた。車体は普通鋼製で、1両あたり15.7mという車長は既存車両に合わせられているが、本車は展望性が重視されており、鴨居部に至るまでガラス張りとした点が特徴となっている。前面は既存車両とは異なり多面状のデザインとなり、こちらも上部に至るまでガラス張りとなっている。前照灯は丸型で、フォグランプと合わせてライトケースに収められている。また叡山電鉄の車両としては初めて排障器が新造時より取り付けられており、尾灯は車体と排障器の間に取り付けられた。塗装は紅葉をイメージした「メイプルレッド」とベージュを基調に、塗り分け部に金色のラインが配されたものとなっている。また、前面には紅葉を模したステンレス板、側面にはロゴマークが取り付けられている。走行装置はデオ800形のものをベースにしたユニット方式で、制御方式は抵抗制御、駆動方式は平行カルダン駆動、制動は電気指令式ブレーキhが採用されている。なお、主制御器は京阪600形のものが流用されている。集電装置は叡山電鉄では初めてシングルアームパンタグラフが採用された。車内は既存車両と異なりクロスシートとなっており、片側は1人掛けのクロスシート(全て乗務員室側を向く)、反対側は2人掛けとなっている。特に2人掛け席の中央4か所については座席そのものが窓側を向くようになっている。いずれの座席も鴨居部に至るまで側窓が配されており眺望を楽しむことができるが、鴨居部の天窓については電動カーテンも取り付けられている。車端部には座席の設置はなく、テーブルが置かれた立ち客用スペースとなっている。当初はワンマン運転には対応していなかったが、2004年のワンマン運転開始を前に対応している。なお、当初は手すり部分が赤色となっていたが、後にステンレス製のものに変更されている。デオ900形はまず1編成が1997年10月に営業運転を開始した。翌年には上部塗装を「メイプルオレンジ」とした第2編成が営業運転を開始し、2連2本の陣容となった。併せて同数のデオ600形が廃車されている。既存車両にはないデザインを有し、鉄道による旅の楽しさや,接客面でのアメニティを追求した車両であることが評価され、1998年にローレル賞を受賞している。基本的に出町柳〜鞍馬間で限定運用が組まれており、同車の運行ダイヤは最繁忙期やダイヤ乱れ時を除き公表されている。八瀬比叡山口にはイベント時を除いて殆ど乗り入れない。

 2015,11,23 宝ヶ池


■Variation
 1998年に増備された903編成。こちらは「メイプルオレンジ」を基調とした塗装になっている。

 2015,11,23 宝ヶ池
 「青もみじきらら」として「メイプルグリーン」基調に変更された901編成。鞍馬線開業90周年を記念して塗装変更されたものだが、デオ900形としては初の塗装変更の事例となった。2020年12月までこの姿で運用される予定となっている。

 2019,07,15 宝ヶ池

2019/09/01