5000形
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 1981年登場。老朽化した半鋼製車両の置き換えと、ワンマン運転への対応を目的に投入された車両である。元は東急の高性能車5000系であり、熊本電鉄では初めて直角カルダン駆動を採用した高性能車両となった。1981年には2両が導入されたが、走行機器の降圧化改造が施された以外は殆ど大きな改造が施されず、番号も塗装も東急時代のまま、2両1編成で営業運転を開始した。1985年にはさらに4両の譲渡を受けたが、この4両は当初よりワンマン運転に対応した他、片方の車端部にも運転台を新設して両運転台となった点が特筆される。この改造により、番台が5100番台に区別されている。新設された運転台はオリジナルのものとは異なり、切妻かつ前面貫通形となった。東急5000系は「青ガエル」と称されることがしばしばあるが、同車の増設された運転台もそれをもじり「平面ガエル」と呼ばれることもあった。尚、塗装は緑を基調にオレンジ・黄色の2色を巻いた独自塗装となり、最初に導入された2両もそれにあわせられている。更に1991年には濃淡ブルーに白と朱色の帯を巻く新塗装へ再度変更されている。当初導入された2両は片運転台であったが、そのうち1両が1988年に両運転台化改造が施され(もう1両は改造の計画があるも中止され後に廃車)、5000形は5100番台が5両という陣容となった。登場当初は全線で主力車両として使用され、廃止された御代志〜菊池間の走行実績もある。しかし超軽量車体で冷房化ができないこと、製造から長期間が経ち老朽化が進んでいたことから、1995年以降冷房車の6000形に置き換えられて廃車が始まり、現在では2両を残すのみとなっている。6000形は上熊本〜北熊本間ではホーム有効長の関係から営業運転できず、その為非冷房車ながら2010年代に至るまで5000形が残され、基本的に同区間のみで使用されていた。尚、2004年にATS設置と同時に車番の後ろにAが追加され、同時に塗装が東急時代と同じ緑一色に復元されている。更に1両は2012年にケロロ軍曹のラッピングが施され、自動放送もケロロ軍曹仕様に改められている。このような変遷を経ているが、熊本電鉄の5000形は各地の私鉄に譲渡された東急5000系の最後の生き残りであり、非常に貴重な存在となっている。5102A号車が2015年3月に営業運転を離脱し、残る5101A号車はICカードへの対応もなされたが、翌年に01形に置き換えられて運用を離脱した。これにて営業線上からは元東急5000系は消滅したが5101A号車については動態保存されることになり、北熊本車庫にて保存運転が行われる。

 2013,03,17 上熊本〜韓々坂


■Variation
 新設された運転台の側は、貫通扉を中央に設けた3枚窓の前面となっている。オリジナルの前面と異なり切妻型であることから、「平面ガエル」の愛称が付けられている。

 2013,03,17 韓々坂
 北熊本の車庫で休む5102A号車。同車は2004年以来一貫して緑一色の塗装となっており、5101A号車のようなラッピングは施されていない。尚、種車の向きの関係上、車両によって新設運転台の向きが異なり、偶数号車は上熊本方、奇数号車は北熊本・御代志方が新設運転台となっている。

 2013,03,16 北熊本
 現役引退後の5101A号車。末期にはケロロ軍曹ラッピングは外され、元の緑色一色に戻っていた。引退後も整備されており、稼働状態で北熊本駅構内に保存されている。

 2018,11,25 北熊本