9640形
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 9640形は2002年に開業した阿佐線(ごめん・なはり線)用の車両として導入された車両である。形式の9640は「くろしお」の読みからあてがわれている。新潟鐵工所と富士重工で製造されており、前面を除いてステンレス製となっている点は中村線・宿毛線用のTKT8000形と共通であるが、こちらは全長が21mとなり大型化されている。前面部は普通鋼製となっており、JR東海に導入されていたキハ11形300番台等と同一の印象となっているが、こちらは塗装が白一色となっている他行き先表示器の類は取り付けられていない。その代わりに、貫通扉にやなせたかし氏のデザインしたキャラクターが描かれている。機関出力は450PSと普通列車用の車両としてはかなり高い出力となっており、最高速度110km/hでの高速運転も可能である。制動方式は電気指令式であり、同じ方式のブレーキを採用しているJR四国の1000形とは併結運転が行えるようになっている。通常仕様車の車内は転換クロスシートとロングシートを組み合わせたセミクロスシートだが、クロスシートに関しては背もたれが非常に高くなっているのが特徴である。尚、高知方の乗降扉背後には車いすスペース及び車いす対応トイレが設けられている。この仕様を有する通常仕様車の他に、太平洋のすぐ近くを走る路線特性もあり、特別仕様車としてオープンデッキを備えた車両が2両製造されている。これら2両は車番の後ろに「S」を付けることで区別されているが、塗装がクジラをイメージしたものに変更されている他、前面は丸みを帯びたものとなり、側扉の窓も丸形のものが3つ配される等、通常仕様車とは全く違う印象の車両となっている。2002年の路線開通時には一般仕様車10両、特別仕様車2両の陣容であったが、2003年に1両増備されており現在は13両の体制となっている。増備車は一般仕様車をベースにしているが「てのひらを太陽に号」という愛称が付けられており、塗装も専用のものとなっている他車内はオールロングシートとなっている。2014年現在も車両体制は変わっておらず、ごめん・なはり線において主力車両として活躍している。尚、同線以外にもJR土讃線高知まで乗り入れる運用や高知〜土佐山田間の普通列車の運用にも就いており、中にはJR1000形とも併結を行う運用がある。

 2013,12,30 高 知


■Variation
 安芸郡北川村にある「モネの庭」のラッピングが施されている9640-5号車。通常仕様車の中には全面ラッピングを施されている車両もあり、中には9640-10号車のように阪神タイガースの全面ラッピングが施されている車両も存在する(阪神タイガースのキャンプ地である安芸市営球場が沿線にあるため)。

 2013,12,30 後 免
 2003年に増備された9640-11号車。やなせたかし氏のデザインしたキャラクターが数多く描かれているこの車両は、「てのひらを太陽に号」という愛称が付けられている。他の通常仕様車と異なり、前面は白とエメラルドのツートンカラーとなり、側面には3色の帯が配されている。また前面の貫通扉には太陽を模したイラストとキャラクターが描かれている。尚、同車のみ車内がロングシートとなっている。

 2013,12,30 後 免
 走行機器類は通常仕様車と同一のために形式は同一ながら、他の通常仕様車とは全く異なる姿の特別仕様車。9640-1S号車が青色、9640-2S号車が黄緑色を基調としたカラーとなっており、側面にはそれぞれ異なるイラストが描かれている。車内も転換クロスシートが基調となっている他、海側にオープンデッキが設けられている点が最大の特徴といえる。この特別仕様車は基本的に運用が限定されており、高知〜奈半利間の一部列車に使用されて、原則的に土佐山田には乗り入れない。

 2013,12,29 安 芸