ASA-300形
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 阿佐海岸鉄道の車両は1992年の路線開通以来、ASA-100形・ASA-200形各1両ずつという2両体制で推移してきたが、2008年に脱線事故を起こしたことによってASA-201形が廃車となってしまった。その代替で、台風の影響に伴う長期休止の後全線廃止となった宮崎県の高千穂鉄道より車両の無償譲渡を受けることとなり、2009年に新たに阿佐海岸鉄道の車両として加わったものがASA-300形である。種車となった車両はTR200形TR201号車で、1988年に新潟鐵工所で製造された「NDCシリーズ」の一車両である。松浦鉄道に導入されたMR-100形やJR西日本のキハ120形200番台と同系の普通鋼製16m級車両だが、TR200形は内装がボックスシート主体のセミクロスシート車となっており、更にイベント対応車として車内にAV装置も設けられている点が特徴である。台風による休止後は高千穂駅構内に留め置かれており、それ以来実に4年振りに営業運転に復帰することとなったが、譲渡に先立ち2008年から筑紫にある西鉄テクノサービスの工場で保安装置の換装等を始めとした改造工事が施行されている。導入時より「たかちほ」という愛称が付けられているが、当初は車番・車体塗装を含め高千穂鉄道時代の姿をほぼそのまま留めており、「高千穂復刻列車」として使用されていた。現在は白をベースに「すだちくんとぽんかんくん」という2つのマスコットが描かれたものに塗り替えられており「みなでのらんけ号」と別愛称もつけられた。尚、車内レイアウトはそのままであるが、モケットは更新されている。また現在は天井部分にイルミネーションが設置されており、トンネル内では明るく光るようになっている。ASA-100形とは共通で使用されており、JR線牟岐までの直通運転にも使用されいた。JR九州に譲渡されたトロッコ車両を除き、現役を貫いている元高千穂鉄道車はASA-300形1両のみであり、貴重な存在となっていたが、2021年のDMV導入に先立つ形で、ASA-100形共々2020年11月を以て現役を退いている。

 2013,12,29 海 部


2021/01/05