5200系列
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 1988年登場。快速急行や急行など、比較的長距離を走る一般列車の接客設備向上を図り、かつ団体輸送への両立も可能な車両として設計・製造された車両群である。それまでの2600系、2610系が20m4扉の固定クロスシート車であったのに対し、こちらは座席数を確保することもあり20m級ながら3扉としている点が特徴である。前面は他車との併結を考慮し前面貫通構造となっているが、当時製造されていた他の通勤型車両とは異なり、丸みを帯びたデザインとなった。前面窓はパノラミックウィンドウが採用され、既存車両に比べて大型化されている。扉間の側窓は大型の5連窓となっているが、これによる車体強度を保つこともあり、アルミ合金製ではなく普通鋼製となっている。制御方式は1420系より続くGTO-VVVFインバーター制御方式が採用されている。主電動機は編成により異なるが、いずれも三菱製の主電動機が搭載されている。制動は電気指令式ブレーキではなく電磁直通ブレーキが採用されており、既存車両との併結が考慮されている。また、回生ブレーキや青山峠などの山間線区を走行することから抑速ブレーキも備えている。車内は全席とも転換クロスシート(シートピッチ910o)となっており、手動転換だけでなく始終着駅等での自動転換にも対応している。座席には小テーブルが設けられた他、扉付近には団体輸送時のみ使用可能な補助椅子が設置されていた(補助椅子にも折り畳み式の肘掛けが設けられていた)。制御車の車端部にはトイレが設けられた。当初、カラースキームは総じて落ち着いた風合いにまとめられており、高級感のあるものとなっていた。本系列のアコモデーションは翌年以降に本系列と同じ近畿車輛で製造されるJR221系等にも影響を与えたとされ、3扉転換クロスシート車両の潮流を築き上げた嚆矢ともいうべき存在である。このように長距離移動を主眼においた内装ではあるが、つり革も設置されており、立ち客にも配慮がなされている(つり革は後に増設されている)。5200系列は1993年までに4連13本が製造され、当初目的のとおり快速急行、急行などの長距離運用や団体輸送を主体に運用されている(ただし、間合いで上本町〜高安間、名古屋〜富吉間などの短距離列車にも充当される)。なお、増備途中から仕様変更があり、1991年製の5209Fからは補助電源装置がSIVに改められたことから5209系、1993年製の車両からは台車がボルスタレス台車に変更されたことから、5211系とそれぞれ区分されている。現在は5200系4本が明星、5200系の残り及び5209系・5211系の全編成が冨吉に配置されており、前者は大阪線、後者は名古屋線を主体とした運用に就く。なお、基本的には他系列を連結した6連以上の編成を組んで運用されるが、他形式とは扉数が異なることもあり、専ら賢島方の先頭に立つ。2007年からは更新工事が施工されており、2014年までに全編成に波及している。この更新工事では座席モケットの換装(ピンク色に統一)やトイレの洋式化、扉鴨居部への車内案内表示器の設置(千鳥配置)やドアチャイムの新設、各車両への車椅子スペースの設置など、サービスレベル向上に寄与する更新がなされた一方、補助椅子や小テーブルの撤去もなされている。

 2008,03,09 今 里


■Variation
 車体更新が施された5200系。新たに車椅子スペースが新設されており、ピクトグラムが追加されている。なお、車体更新後も種別標識灯・尾灯が換装されていない編成も存在する。

 2018,10,27 榊原温泉口
 1991年に製造された5209系では、補助電源装置が従来のMGからSIVに変更された。台車は5200系と同じものを履いている。1993年からは5211系を製造したため、5209系としては2本の陣容で、いずれも富吉に所属し名古屋線を主体に運用されている。なお、5200系列の車体更新では、過半数の車両で窓下の標識灯・尾灯が換装されており、印象が変わっている。

 2019,05,05 塩 浜
 1993年に製造された車両では、台車がボルスタレス台車に改められ、5211系と区分されている。こちらは3本が製造され、いずれも富吉に所属し名古屋線を主体に運用されている。

 2015,02,07 近鉄四日市
2021/09/29