16200系
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 近鉄では2013年の伊勢神宮式年遷宮にあわせて50000系の新造及び改造車2013系の導入を行い、伊勢志摩地方の観光輸送の強化を図り成功を収めたが、両形式の入線が物理的にできない南大阪・吉野線においてもそれまでのフラッグシップである26000系以上に観光輸送に特化し、「ゆったりした時間を楽しむ、上質な大人旅」をコンセプトとした特急型車両を導入することとなった。このコンセプトにより、2両・4両単位となっている通常の吉野特急とは異なり、窮屈にも輸送過剰にもなりづらい3両編成の車両の導入が計画され、元々3連を組んでいた通勤型車両6200系1本を種車に大規模改造を施すこととなった。この車両が16200系であり、2016年に改造・導入された。一般型車両の特急型車両への格上げ改造は私鉄では珍しく、近鉄でも元奈良電気鉄道の680系以来50数年ぶりとなった。車体は種車のものを活用しているが、塗装は濃紺のメタリック塗装に金色の帯を配したシックな色合いに改められ、クーラーキセも紺色に塗られている。前面形状は従来の面影を残すものの、既存の行き先表示器が撤去され、小型の表示器が別に設置された。また排障器は独特な形状のものに換装され、こちらは金色に塗装された。側面は側扉が各1か所を除き全て埋められており、基本的に扉跡部分は幅1300o、2連窓であった部分は幅1800oの側窓とすることで過度な構体の改造は抑えられている。ただしラウンジカーとなった中間車の窓は、着座時の眺望を考慮した細長いものに変わり、大きく異なる印象となった。走行機器類については大きな変更はなく、制御方式は従来通りの抵抗制御方式となっている。車内は両制御車が座席車となっており、2人+1人掛けでリクライニングシートが展開するが、元側扉の部分はサロン、ツイン席という扱いで回転できず、座席間に大型テーブルが供えられた。乗務員室背後には1人席が設置されている他、大阪阿部野橋方の先頭車にはサニタリースペースも新設された。中間車は前述のとおり定員外のラウンジカーとなっているが、「鉄道らしさを徹底的に排除」し、ホテルのラウンジを髣髴とさせる内装となった。車端部にはバーカウンターの他、ライブラリースペースも設けられている。いずれの車両も木目調を基調としたシックな風合いで、また床材には丹後緞通のカーペット、手すりには真鍮製のものが採用され、総じて落ち着いて高級感のある内装となった。なお、同車にはミュージックホーンが備わり、ハイドンの「交響曲101番第2楽章」の一節が流される。16200系は2016年9月に営業運転を開始しており、同形式を用いた特急は「青の交響曲」という愛称となり、乗車には通常の特急券の他別途車両券が必要となる。

 2018,02,10 高田市


■Variation
 大阪阿部野橋方のク16300形。こちらには車端部にサニタリースペースが新設されており、窓配置がモ16200形とは異なる。

 2018,02,10 高田市