110形
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 当時の三重交通が1954年に製造したサ360形を出自とし、同社鉄道線の近鉄合併後に改造及び改番を施したものである。全長11m級の半鋼製車両で、丸みを帯びた前面形状と張り上げ屋根を有し、前面・側面とも所謂「バス窓」構造を採用していた。正面は非貫通構造で、窓下に尾灯を有していたが、制御車への改造を考慮し、片側には乗務員扉が備え付けられていた。サ360形は8両が製造され、当初は全車三重線(湯の山線、内部線、八王子線の総称)に配置されていたが、1960年に6両が北勢線に転じており、1965年の近鉄移管時には内部・八王子線に在籍していた車両を含めてサ130形に改番されている。引き続きトレーラーとして用いられ、1978年には北勢線近代化により1両が内部・八王子線に戻り同線では3両体制になった。1982年の260系導入に伴う近代化に際しては、3両のうち2両が制御車化されク110形に改番、1両がサ120形に改番されている。このうちク110形は260系に準じた形状の運転台が取り付けられ260系とのイメージを統一したが、前面窓の大きさが260系よりも小さくなり、ウィンドシルが残される、側窓が種車の「バス窓」を継承している等の差異がある。総括制御への対応、側扉の自動化等も併せて行われている。以降は1989年のワンマン化、1994年以降の制動方式変更、2004年以降の塗装変更、2012年以降の転落防止用幌新設と、260系と同じ変遷をたどった。2015年4月以降は四日市あすなろう鉄道に継承されたが、同社の車両リニューアルでは260系以外の車両は新造車両によって置き換えられることになり、冷房化改造などはなされず2017年に全車廃車されている。同じくサ360形を出自とする車両のうち、北勢線に転じた130形は高速化や冷房化が行われており、対照的な結果となっている。

 2009,03,19 内 部


■Variation
 四日市あすなろう鉄道継承後のク114号車。パステルカラーを纏う姿は近鉄末期と全く変わらない。新たに転落防止用幌が取り付けられているが、110形はリニューアルの対象とはならず、2017年に2両とも廃車されている。

 2015,11,21 日 永
 同じく四日市あすなろう鉄道継承後のク115号車。パステルカラーは1両ごとに異なっているが、一定ではなく検査の際に変更されることもあった。

 2015,11,21 あすなろう四日市
2020/05/30