3000形
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 2014年登場。1997年の2000形増備以降しばらくの間車両増備のなかった箱根登山鉄道だが、この間一部列車は2連で存置され、混雑時には積み残しを残すこともあるなどその緩和は課題となっていた。この混雑時を含め、全列車における3連運転を可能とするため、2連のまま存置されていた2000形の増結用車両として製造された車両が3000形であり、箱根登山鉄道としては実に四半世紀ぶりの新形式車両となった。全長はおよそ14.6mで、増結用としての使用を考慮し両運転台構造となった。またデザインは小田急50000形等と同じく「岡部憲明アーキテクチャネットワーク」によるものとなっている。車体は軽量ステンレス製となったが、「バーミリオンはこね」と称する専用の赤色を基調に塗装されており、側面・前面の窓下は銀色に塗装されている。制御方式は箱根登山鉄道では初めてIGBT-VVVFインバーター制御方式を採用した。併せて回生ブレーキを初めて導入しているが、急勾配・急曲線の多い路線特性に合わせ、回生制動と併用してブレーキ抵抗器による発電ブレーキも搭載。台車は同時期に製造された車両としては珍しく、従来車と同等のコイルバネ台車が採用されている。また、急曲線での散水に考慮し、水タンクも設けられている。車内は観光を重視したものとなっており、「クロスシートゾーン」と「先頭展望ゾーン」に大別される。「クロスシートゾーン」はボックスシートが展開しており、網棚が設けられていない反面座席下に荷物が置けるよう工夫されている。「先頭展望ゾーン」は「クロスシートゾーン」よりも側窓の大きさが拡大した結果足元から天井付近までが窓となり、今までの車両に比べて段違いの眺望性を誇る。この「前面展望ゾーン」は、片側に折り畳み可能なクロスシートが設置されており、反対側は向きにより車椅子スペースか腰掛付きの手すりが設けられた。立ち客にも配慮し、扉付近につり革が設けられた他、車内中央部は掴み棒が伸びている。車内照明は電球色のLED灯で、天井部分ではなく窓上に配されている。また、車内案内表示器はLCDが採用された。3000形は2014年11月より営業運転を開始したが、先んじて8月には「アレグラ号」という愛称が決まった。従来の車両にない最新の技術を導入し、また観光色を前面に押し出したことで観光地としての箱根のイメージアップに繋げたことが評価され、2015年にローレル賞を受賞している。前述のとおり2000形の増結が主な用途ではあるものの、箱根の新たな顔として活躍している。なお、2017年には2両連結の3100形も登場しており、以降の3000形は3100形と併結することが多くなっている。2019年には更に2両が増備されており、これで3000形は4両の陣容となった。

 2015,07,11 大平台


2020/02/27