1000形
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 1981年登場。鋼体化改造されたモハ3形以来実に29年振り、新形式としては約45年ぶりに新造された車両である。1981年・1984年にそれぞれ2両1編成が製造され、姉妹提携を結んでいるスイス・レーティッシュ鉄道に因んだ「ベルニナ」の愛称をもった。車体は全鋼製車体で、前面は三枚窓となっている。運転台を中央に据え、その左右に細長い窓を配しているが、窓間の柱を補足することで前面の眺望性を確保している。また側面の窓も従来車に比べて大型となり、こちらも眺望性を増したものとなった。尚、従来の車両はドア部にステップを設けていたが、こちらは床高さを下げることでステップレスとなり、乗降がスムーズに行えるようになった。性能面では箱根登山鉄道では初めてのカルダン駆動方式を採用した高性能車両であり、電気指令式ブレーキも採用されている。また、箱根登山鉄道では箱根湯本を境に架線電圧が変わり、従来車は手動で切り替えていたが、こちらは自動で回路を切り替えられるようになった。車内はセミクロスシートが採用されており、登場からしばらくは非冷房であったがラインデリアが装備され、従来車両に比べて大幅なサービスアップを実現させている。総じて従来の車両とは一線を画す車両であり、センセーショナルなデビューを飾っている。この点が評価され、1982年にブルーリボン賞を受賞している。長らく非冷房であったが2004年に冷房化がなされてその際に電源確保の目的から2000系の中間車を組み込んで3両編成となった。また、それにあわせて接客設備を2000系と同等とする改造も行われ、LED式の行き先表示器や自動放送装置、車内案内表示器も同時期に取り付けられた。現在も尚2000系に伍して主力車両として活躍している。

 2008,03,30 大平台


■Variation
 第2編成は箱根登山鉄道創立120周年を記念して、2008年3月に登場時の塗装に塗り替えられた。ただし2000系の中間車が組み込まれて冷房化されている点や行き先表示器がLEDになっている点が往年とは異なる。一旦塗り替えで消滅したが、2016年に再度復活し現在に至っている。

 2008,03,30 大平台
 2015年現在はレーティッシュ鉄道の車両に合わせた塗装に塗り替えられているが、以前の塗装とは異なり上部には黄色い帯が巻かれたものとなっている。この塗装は小田急1000形のうち箱根登山鉄道で使用される車両とほぼ同一である。登場時の塗装を纏っていた第2編成もこの色に塗り替えられたため、2015年現在1000形は全てこの塗装となっていた(後に1本は再度塗り替え)。第1編成は現在前照灯がLED灯に改められている。

 2015,07,11 大平台
 2019年の検査により行き先表示器がフルカラーLED化された第1編成。江ノ電の車両と同様、季節のイラストを表示することも可能である。この他集電装置のシングルアームパンタグラフ化や車内案内表示器の液晶化がなされている。

 2019,05,26 大平台
 2023年時点での第2編成。再び登場当時の塗装を纏っているが、行き先表示器のフルカラーLED化や前照灯のLED化、集電装置のシングルアームパンタグラフ化や車内案内表示器の液晶化等、他編成と同様の改良が施されている。

 2023,02,23 強 羅
2023/03/10