コ-1形
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 八栗ケーブルは、四国第八十五番霊場である五剣山八栗寺へのアクセスを目的に建設された鋼索路線である。麓の八栗登山口と山上の八栗山上間、およそ700mを結び、両駅間の高低差は167mとなっている。八栗ケーブルは戦前の1931年に八栗登山鉄道の路線として開業しており、当時より八栗寺への参詣客輸送に使用されたが、大平洋戦争末期の1944年に不要不急線として休止に追い込まれ、20年後の1964年に八栗ケーブルの路線として復旧している。

 現在使用されている車両はこの再開業に合わせて日立製作所で製造された車両であり、コ-1形という形式名がつけられている。全長12m級の全鋼製車両で、前面はヘッドライト部分がやや膨らんだボンネット状になっており、ライト配置やライト間に付けられたヘッドマーク等も含めて同車より前に製造された伊香保ケーブル鉄道(1966年廃止)の車両と同形となっている。側扉は片側3か所の折り戸で、当初より自動扉が採用されていた。集電装置は菱形パンタグラフとなっており、山上側が2つ配置、麓側が1つ配置と前後で配置数が異なっている。車内はすべて背ずりの低いクロスシートとなっており、蛍光灯にはグローブが取り付けられた。同車と同じ時期に製造された車両が次々に引退となる中、塗装の変更こそあれど往時の車両を殆ど変化なく使用し続けている稀有な車両であり、鋼索鉄道の中でも貴重な存在と言える。

 2013,12,28 八栗山上


■Variation
 麓側からみた2号車。山上側・麓側ともライト部が膨らんだボンネット状の前面となっている。塗装は1号車がオレンジ基調であるのに対しこちらは緑色基調となっている。いずれの車両も下部はグレー、側面上部は白色に塗装されている。

 2013,12,28 八栗登山口