チキ5200形
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 コキ5200形はレール輸送を専門とする長物車であり、1979年から1981年の間に188両が竣工した。元々本形式は黎明期の高速コンテナ車であるコキ10000系列を種車としている。コキ10000系列は最高時速100km/hでの高速走行を主眼に、空気バネ台車や応答性の高い新開発の電磁空気ブレーキ装置、密着自動連結器が採用されるなどハイスペックなコンテナ車であったが、その反面運用上の制約も多く、当形式よりも後に開発されたコンテナの積載にも難があったことから余剰気味となっていた。本形式はそのコキ10000形の一部を改造したものであるが、2両1組で25mレールを輸送するように設計されており、元々18m級あった車長は13m級に短縮されている。台車はコキフ50000形の発生品であるコイルバネTR223 形を搭載していたが、代替で元々種車が搭載していた空気バネ台車をコキフ50000形に転用した。荷台の中心にはレール積載装置、両端部にはレールを置く台座が設置された(いずれも着脱は可能である)。なお、本形式の最高時速は75km/hとなっている。台車レール輸送用という目的から、本形式はJR四国以外の全ての旅客鉄道会社とJR貨物に譲渡された。国鉄民営化後も同じく国鉄から継承されたチ1000形やチキ6000形と共にレール輸送に用いられた。2010年代までは多く在籍していたが、JR東日本とJR東海がそれぞれレール輸送専用気動車を開発すると置き換えの対象となり、また無車籍のモーターカー牽引のレール輸送も台頭したことから、JR西日本のチキ5200形以外は2021年までに営業線上からその姿を消している。なお、JR東日本を廃車となった車両のうち2両は、2021年に小湊鐵道に譲渡されている。

 2015,09,05 田 端