ナハ29000形
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 2000年登場。鉄道車両としては例を見ない、「車内でバーベキューを行う」ことを目的に開発された車両であり、2003年までに3両が竣工した。いずれも有蓋貨車ワキ10000形から改造されており、種車の側板を外して開閉可能な窓を取り付け、車内に木製の椅子・テーブルを配しているという点、屋根にベンチレーターを追設しているという点は共通しているが、その形態は3両とも異なるものとなっている。なお、形式の「29000」は「肉」の語呂が由来であり、国鉄制式に則ったものではない。また、「バーベキューカー」としての運用時には、各テーブルに電気式ホットプレートが設置される。ナハ29001・29002の2両は黒色に塗装されており、車体下部にロゴマークやイラスト(プレート)等が取り付けられている。ナハ29001の方が側窓が大きく、また座席部分の取っ手が同車のみ木製となっている(残り2両は一般的な金属製のもの)。同車では乗降用の側扉は設けられず、車端部に非常扉のみ設置された。ナハ29002のみ、50系客車と同等の1000o幅の側扉が設けられている。この2両は冷蔵庫や流し台を始めとする調理設備が設けられているが、その配置はそれぞれ異なっている。ナハ29003は当初より「富良野・美瑛ノロッコ」の増結車両として位置づけられており、塗装が茶色となっている他、尾灯は設置されていない。また、同車では調理用の設備は備えられておらず、車体中央に荷物置き場がある以外はすべて客室となった。同形式は客車のみならず気動車に連結しての走行も可能であり、この特徴を活かして「バーベキュー列車」としての運用時は前後に気動車を連結して道内各地を走行し、ナハ29003以外もシーズン中を中心に「ノロッコ号」の増結車両として使用した。特徴的なコンセプト・用途で活躍した同形式ではあったが、2015年から翌年にかけて2両が廃車され、残るナハ29002についても2018年3月に廃車されており、これを以て同形式は形式消滅となった。

 2016,09,04 美 瑛