ホキ700形
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 ホキ700形はバラスト輸送及び散布用の30t積みホッパ車であり、1957年から翌年にかけて国鉄長野工場で製造された。本形式導入前のバラスト散布は、ベルトコンベアを用いた砕石輸送車は導入が始まっていたものの基本的には土運車や無蓋車で輸送後に人力で作業しており、省力化の観点から散布量を制御しつつバラスト散布が可能な車両の必要が生じていた。本車は全長12.8mで、両端にデッキを有し、中央に砕石用ホッパーが備えられた構造となっている。片側のデッキには円形ハンドルが2つ備わっており、一方向のみならず2か所同時に散布をすることができた。反対側のデッキにはブレーキ装置と手ブレーキハンドルを備えている(構造上床下にブレーキ装置を装備できない)。ホッパーの排出口には流し板が設けられており、その角度をレバーハンドルで変えることによりバラストの散布範囲を変更することができるようになっている。その車体形状は後継のホキ800形はおろか2021年に導入されたGV-E196形まで殆ど変わらず、本形式の時点でそのスタイルを確立していたといえる。ただし本形式は線路の外側に散布できたが軌道内に散布することができず、翌年以降改良型のホキ800形が製造されると増備はそちらに移行したため、ホキ800形が1000両以上の大所帯を形成したのに対しホキ700形は55両という少数派で終わっている。後継のホキ800形と同じく北海道から九州まで各所に配置され、ホキ800形とも混用されたが、少数形式かつ散布性能でホキ800形に劣ることもあり、JRには継承されず全車とも国鉄時代に廃車されている。現在、ホキ746が三笠鉄道村クロフォード公園(旧三笠駅)に、ホキ708が宇都宮貨物ターミナルでの留置を経て、那珂川清流鉄道保存会でそれぞれ静態保存されている。

 2014,06,28 クロフォード公園


2023/07/02