ホキ2200形
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 ホキ2200形は1966年以降に製造された、穀物・飼料輸送用の30t積ホッパ車である。それまでの国鉄における穀物・資料輸送は基本的に袋詰めにして有蓋車で輸送する手法が主であり、その輸送には多大な労力がかかっていた。折しも高度成長期で穀類の大量輸送が求められたこともあり、それを実現すべく開発されたホッパ車として本形式が開発された。既に私有貨車として麦芽輸送用のホキ6600形が製造されていたが、本系列はそのホキ6600形を更に改良した車両で、扱う品が食料品であることから、輸送時の品質維持を優先した設計となっている。車長は12.7mで、端部には一応デッキを備えているが、車体限界を最大限に活用した卵型断面のホッパーを有する。ホッパーの形状・大きさから、さながらタンク車にも見える特異な外観となっている。前述したホキ6600形は国鉄の規定により黒色で塗装されていたが、黒色では熱を吸収してしまい輸送する穀類の品質に影響を及ぼす可能性があった。そこで本車は代表的な積荷である小麦をイメージできるクリーム4号で塗装され、これにより遮熱性を高めている。本形式以降、穀類・飼料輸送の貨車は黒色で落成していても、最終的にはクリーム4号で塗装されるようになった。塗装のみならず、遮熱版を導入して車内温度の上昇を抑えたほか、内部についても防錆の観点からエポキシ樹脂によりコーティングがなされており、前述のとおり輸送品の品質保持が考慮されている。車内は中央を境に2室に分かれた構造となっており、それぞれに搬入用ハッチと漏斗状の取り卸し口を備えていた。当時の特急貨物にも連結可能なように、最高速度85km/hでの運行が可能であり、それに対応する台車が奢られていた。本形式は積載可能な食品が限定されず広汎に用いることができたことから増備が進み、1974年までに1160両もの両数が製造された。なお、車両により上部ハッチの形状が異なり、丸形のものが4つ設置されている車両と楕円形のものが2つ設置されている車両が存在する。また、7社(ナニワ工機→アルナ工機は1社扱い)で製造されていることもあり、車両によっては車体形状等に微妙な差異が生じている。1969年に国鉄と飼料メーカー数社の出資で「日本飼料ターミナル」という会社が設立され、鉄道駅に併設する形で同社の運営する飼料用中継サイロが設けられ、このサイロ間を中心に直行輸送を行うことで、輸送の効率化が図られた。昭和50年代の時点では一定した輸送量を持っていたが、モータリゼーションの進展や飼料工場の移転、モータリゼーションに起因する車扱貨物自体の減少も相まって、昭和50年代後半以降は余剰車が生じることとなった。前述の日本飼料ターミナルについても1986年に解散されている。国鉄民営化に際しては545両がJR貨物に継承されており、引き続き穀類・飼料輸送に従事したが、更なるモータリゼーションがもたらされた他、国主導での穀類輸送の激減、輸送方法の切り替え(タンクコンテナ化など)が進んでいるため、2000年までに営業線上から退いている。既に現役を引退して久しいものの、現在も小樽市総合博物館や三笠鉄道公園で静態保存されており、特徴的なその姿を今に伝えている。

 2014,06,27 小樽市総合博物館


2023/07/03