E353系
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 量産先行車が2015年、量産車が2017年に登場。それまで「スーパーあずさ」に使用されていたE351系の老朽化に伴う置き換えと、将来的な中央東線特急車両の車種統一を見据えて開発された特急型車両であり、全車とも総合車両製作所横浜事業所にて製造された。車体はアルミ合金製で、形状はE259系をベースとしながらもこちらは「KEN OKUYAMA DESIGN」によるデザイン監修がなされている。塗装は「アルパインホワイト」をベースに上部を「あずさバイオレット」と称する紫色のラインを配し、窓周りは「キャッスルグレー」と称する青みがかった黒色とされた。前面は増解結を行う側が貫通構造、それ以外は非貫通構造となっているが両者ともデザインは統一されており、運転台は貫通扉上部に設置されている。この点はE259系と共通だが、こちらは前照灯が貫通扉と平行に縦型に設置されるという特徴的なデザインとなった。編成はE351系が基本8両、付属4両であったのに対しこちらは基本9両、付属3両となり、基本編成の両数がE257系とあわせられた。このうち付属編成では制御車で0.5M方式が採用されており、全車電動車ながら実質2M1T相当とされた。制御方式はIGBT-VVVFインバーター制御で、制動方式は回生ブレーキを併用した電気指令式ブレーキとなっている。回生失効時に備えてブレーキチョッパシステムが採用され、回生の失効時は発電ブレーキが作用する。列車情報管理システムは既存車に引き続きTIMSが採用されている。曲線の多い中央東線で高速走行を行うべく、先代のE351系と同じく車体傾斜により曲線通過時の速度向上が図られているが、E351系が制御付き振り子式車両であったのに対しこちらは空気ばねによる車体傾斜方式が採用された。曲線通過時の最大傾斜角は1.5度とE351系(最大傾斜角5度)に比べ大幅に低減されているが、曲線通過速度はE351系と同等となっている。空気ばね車体傾斜方式はJR東日本の在来線車両では初の導入となっている。この他、走行安定性の向上を目的に全車両にフルアクティブサスペンションが取り付けられた。車内は普通車が960oピッチ、グリーン車が1160mmピッチでリクライニングシートが展開している。E657系の内装がベースとなっているが、それぞれインテリアデザインが異なり、普通車が寒色系、グリーン車が暖色系のカラースキームとなり明確に区別されている。振り子式車両で車体断面が絞られていたE351系と比べて車内空間が拡大されており、総じて居住性の向上がなされている。なお、床面高さは1130oとなっており、既存の特急型車両と比べてホームとの段差低減がなされている。E353系は2017年12月のダイヤ改正より一部の「スーパーあずさ」で運用を開始したのを皮切りに投入が進み、2018年3月のダイヤ改正で「スーパーあずさ」の全列車が、翌2019年3月のダイヤ改正では中央東線の全定期特急が本形式に統一された。この改正では新たに青梅線に直通する「おうめ」や富士急行線に直通する「富士回遊」、千葉・南小谷に乗り入れる「あずさ」にも充当されるようになり、活躍の幅が更に広がった。現在は9連20本、3連11本の陣容であり、JR東日本の特急型車両では、E257系に次いで両数が多い形式となっている。

 2018,04,28 吉祥寺


■Variation
 量産先行車のS101編成。以降に製造される量産車とは荷物置き場の有無(量産車には設置)やフルアクティブサスペンションの搭載車両の相違(量産先行車は制御車とグリーン車のみ、量産車は全車)、車端ダンパ・車体間ダンパの有無(量産車には取り付けられていない)、及びグリーン車へのコンプレッサー搭載の有無(量産車には搭載)等に差が生じていた。2017年から翌年にかけて量産車に合わせる改造がなされ、2018年3月のダイヤ改正時より営業運転に投入されている。以降は他編成と混用されており、運用上の制約はない。なお、前面が貫通構造となっているクモハE352形及びクハE353形は連結器が電気連結器となっている。

 2019,04,28 東 京