キハ183系クリスタルエクスプレス
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 「クリスタルエクスプレストマム・サホロ」はJR北海道が1980年代〜1990年代に投入したリゾート気動車の1車両で、1989年に登場した。前年に製造された「ニセコエクスプレス」から走行機器類も含めて新製され、形式がキハ183系になったことから、本車もそれを踏襲し、形式はキハ183系となっている。車両性能は同時期に製造されていたキハ183系550番台(NNキハ183系)とほぼ同等であり、最高時速120km/hでの走行が可能となっている。車体は「ニセコエクスプレス」同様に苗穂工場で製造された。元々北海道のリゾート気動車は眺望性を重視した車両が多いが、本車両はより眺望性を重視した設計となっている。先頭車は名鉄パノラマカーや小田急ロマンスカーのように運転室を屋根部に設け、通常運転室がある最前部に展望室を設置した構造を採用した。一般客室部分は300o嵩上げされたハイデッカー構造となり、側窓は天井まで到達する曲面ガラスが採用された。座席はテレビモニター、オーディオサービス付きのリクライニングシート(テレビモニターは後に撤去)で、シートピッチ960oで展開した。製造当初中間車は1両(キハ182-5101)で、こちらは「ドームカー」という名前で900o嵩上げされたハイデッカー構造を有していた。座面から天井部まで伝わる大型の曲面ガラスの他天窓も備え、正に「全方位」の眺望を可能としている。同車も座席はリクライニングシートで、同じくシートピッチ960oで展開した。当初はこれら3両の陣容であったが、1990年に更に中間車が1両増備され、以降は4両編成となった。この際増備された中間車(キサロハ182-5101)は、気動車として日本初のダブルデッカー車両で、階上席は大型テーブル付き4人掛けのボックスシート及びラウンジスペース、階下は4人用のグリーン個室(3室)となった。平屋部分にもラウンジスペースがあり、こちらには供食設備も備えている。いずれの車両も、側扉はプラグドアが採用されている。「トマム・サホロ」の名のとおり、元々はトマム・新得方面の観光特急に用いることを想定した車両ではあるが、その他の臨時特急や観光列車にも用いられ、全道で運用された。キハ183系の特色を活かし、定期特急の代走に用いられたこともある。長きにわたり北海道を代表する観光列車として親しまれたが、製造から30年が経過し老朽化が進んだことから、2019年9月を以て引退することになり、惜しまれつつ廃車された。

 2014,06,28 札 幌


■Variation
 キハ182-5101号車。ドームカーと称されたこの車両は嵩上げ高さが900oで、ダブルデッカーにおける2階席に相当する高さとなっている。大型曲面ガラスの他天窓も設けられ、上から下まで眺望を堪能できる車両であった。

 2016,09,04 富良野
 気動車として日本で初めてダブルデッカー構造を採用したキサロハ182-5101号車。床下まで客室が展開しているため、エンジンは搭載せず付随車となった。グリーン、普通車の合造車となったが、階上が普通車、階下がグリーン車という構造になっている。気動車のダブルデッカーは殆ど事例がなく、同社以外は特急「スーパーとかち」用のキサロハ182形550番台、「ノースレインボーエクスプレス」用のキサハ182-5201で見られた程度である。なお、本車の台車は583系電車の廃車発生品が流用されている。

 2016,09,04 富良野
2021/08/01