キハ120形0・300番台
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キハ120形:0・300番台・200番台
 1992年登場。主に輸送力の少ない閑散線区で使用されていた国鉄型気動車を置き換え、速度向上と体質改善を図る目的で製造された車両である。既に前年に200番台が製造されており、全長や車高、前面形状は同番台に準じているが、こちらは車体が軽量ステンレス製となっている点が特徴である。また、側窓は200番台では開閉可能であったが、このグループでは固定窓となっているため、側面のみを見ると200番台とは大きく異なっている。車幅が100mm拡大されており、それにより乗車定員が増加している。乗降扉は引き続きバス用の2枚折り戸が採用されており、乗務員扉も設けられていない。機関は200番台と同じものが採用されているが、機関出力は330PSへと向上している。0番台・300番台の大きな違いは内装で、0番台がオールロングシート、300番台が200番台と同じくセミクロスシートとなっている。いずれも当初よりワンマン運転機構を備えワンマン運転に対応するが、運用線区によっては比較的長距離の運用に充当されるにもかかわらず製造当初は全車トイレ非設置となっていた。当初トイレ非設置については長時間停車で補う形であったが、2004年以降全車にトイレが設置されており、当該箇所は窓が塞がれている。また、床下にスペースがないことから床上に汚物処理装置が取り付けられた。トイレは施錠すると自動的に洗浄泡が生じるもので、他の鉄道車両では殆ど見られない独特のものとなっている。このグループは0番台が22両、300番台が59両製造され、亀山鉄道部及び北陸地方・中国地方各地に配置された。同車の導入によって国鉄型車両が一掃された線区もあり、走行性能の向上や体質改善に繋がった反面、線区によっては輸送力の縮小による混雑率の上昇を招いているところもある。前述のトイレ設置工事以外にも運転状況記録装置の設置、ワンマン運転用車内表示器の換装など種々の改良を経つつ、JR西日本におけるローカル線区においては文字通りの「顔」となっている。なお、2017年以降体質改善工事の施工が開始されており、同時期に製造された第3セクター鉄道の車両が軒並み廃車される一方、本車は現在のところ1両が事故廃車となったのみであり、引き続きローカル線区における主力車両として使用されている。

 2008,03,15 加 茂


■Variation
 オールロングシートとなっている0番台。300番台に比してその両数は少なく、総勢22両の陣容となっている。亀山鉄道部には0番台・300番台のいずれも在籍し、特に運用の区別なく関西本線で使用されている。

 2012,12,24 伊賀上野
 2017年4月より1年かけて開催された「お茶の京都博」をPRする目的でラッピングが施されたキハ120-12。「山城列茶」という愛称が付けられている。2019年11月までこの姿で充当される予定となっている。

 2018,02,10 柘 植
 下関総合車両所新山口支所に所属するキハ120形。青・赤・黒の3色のラインが配されている。同所も0番台・300番台の双方が在籍しているが、0番台の比率が高いのが特徴である。山陰本線の一部区間や美祢線で使用されている。

 2014,12,29 厚 狭
 新山口支所のキハ120形のうち3両は、同所のキハ120形が主に走行する、美祢線の沿線自治体に因んだラッピングが施されている。写真のキハ120-9は山陽小野田市に因んだラッピングがなされている。

 2014,12,29 長門市
 キハ120-19は美祢市に因んだラッピングが施されている。

 2017,10,21 下関総合車両所
 キハ120-323は幕末維新やまぐちデスティネーションキャンペーンに合わせて専用ラッピングが施され、「幕末ISHIN号」という愛称が付けられた。

 2017,10,22 長門市
 高山本線で使用されるキハ120形。金沢総合車両所富山支所に、300番台11両が配置されている。塗装は前面が猪谷(高山・岐阜)方が緑色、富山方が赤色に塗装され、側面帯も、片側の上部が緑、反対側が赤と異なっている点が特徴である。現在は基本的に富山〜猪谷間で使用されるが、かつてはJR東海に乗り入れ高山まで足を延ばしていたほか、現在は富山ライトレールとなった富山港線での運用もあった。この他高山本線には新山口支所から0番台1両が移っているが、同車は新山口支所の姿のまま活躍している。

 2009,03,10 富 山
 同じく高山本線のキハ120形300番台。猪谷方は緑色に塗装されている。

 2009,03,10 富 山
 岡山支社に所属するキハ120形。16両の在籍で全て300番台となっており、オレンジと赤の2色の帯を巻く。津山・新見を拠点とし、姫新線佐用以西、因美線智頭以南、芸備線備後落合以東等で活躍している。2014年以降は伯備線の運用にも充当され、米子でもその姿を見ることができるようになった。

 2014,12,28 久 世
 富山支社に在籍するキハ120形のうち、大糸線で使用される300番台3両は全て岡山支社から転属したものである。帯色は岡山支社時代のものを継承しており、多客輸送時を除き運用は既存のキハ120形とは分けられている。同車の導入でキハ52形が置き換えられ、JRの営業線上から同形式は姿を消している。

 2013,08,16 南小谷
 下関総合車両所広島支所に在籍するキハ120形。0番台・300番台の双方が在籍するが、300番台の比率が高くなっている。同所のキハ120形は紫と青の2色の帯が配されている。芸備線広島〜備後落合間と福塩線府中以北で使用されており、中には広島〜備後庄原・府中間を通しで走破する運用も存在する。

 2014,12,28 備後落合
 広島支所内の一部のキハ120形は、やや紫の色が落ち、マゼンタ色に近いものになっているものもある。

 2014,12,28 三 次
 木次鉄道部に所属するキハ120形0番台は、当時の200番台に準じ黄色と緑の2色ラインが配され、前面はベージュに塗装されている。5両が在籍しているが、車番はトップナンバーから連続している。木次鉄道部のキハ120形は木次線全線の他、山陰本線にも乗り入れ同線の松江〜宍道間で使用されている。

 2018,06,16 木 次
 浜田鉄道部に所属するキハ120形。前面は白色に塗装されており、前面から側面にかけて水色と青帯、側面上部に赤色の帯が配されている。同所のキハ120形は全て300番台で、山陰本線出雲市〜益田間で使用されている(2018年3月までは三江線でも使用)。因みに同じ米子支社内の木次鉄道部に所属するキハ120形については、同色の色違いとなっている。

 2014,12,29 益 田
 灯具類の換装された浜田鉄道部のキハ120形。浜田鉄道部では体質改善の有無にかかわらず体質改善車と同様のLED灯に換装されている。

 2018,06,15 出雲市
 浜田鉄道部のキハ120形のうち、310号車1両がラッピング車両「三江線神楽号」となっている。三江線沿線の神楽をモチーフにし、三江線の利用を促進するラッピングとなっているが、残念ながら三江線自体は2018年3月を以て廃線とすることが決定した。

 2014,12,28 三 次
 体質改善工事が施工された浜田鉄道部のキハ120形。体質改善施行車は前照灯がフォグランプ付きのLED灯に換装された他、ドア開閉用押しボタンやドアチャイムの新設がなされている。内装は外装以上に徹底的なリニューアルが施されており、照明がLED化され、床材、掴み棒、つり革が換装されている他、座席そのものも取り換えられている。ロングシートは着席定員が1名減少した分幅の拡大と袖仕切りの新設がなされた他、300番台ではボックスシート部分も取り替えられ、立ち客用の掴み手が大型化されている。この体質改善工事は2017年から開始され、2024年のキハ120-302(亀山所属)への施工を以て全車施工済みとなる。

 2024,02,25 出雲市
2024/03/11