キハ03形
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 1956年登場。国鉄が西ドイツの車両を元に開発した「レールバス」といわれる車両群の一つである。元々乗客の少ない閑散線区の合理化・フリークエンシー向上を目的としており、バス用の車体にバス用の走行機器を組み合わせ、文字通り「線路上を走るバス車両」の様相を呈している点が特徴である。元となった西ドイツの車両が流線形であったこともあり、前面形状は流線形となっている。ホームとの隙間を低減すべく車幅は他の気動車と同等の幅がとられているものの、前述のとおり車体自体はバス用のため、車高は3m程に抑えられており、独特な外観を有していた。前述のとおり、機関・クラッチ・変速機等もバス用の機器を搭載している。また全長は短いため、この時期の旅客用車両には珍しく2軸車両となった。「レールバス」は最終的に3形式となったが、いずれの車両も製造コスト削減及び基本的に単行での使用が想定されたことから総括制御には対応しなかった。このキハ03形は国鉄が製造した「レールバス」の中では後発であり、北海道での使用が考慮されたことから極寒地向けの車体構造を有している。側窓は所謂「バス窓」だが二重構造とされ、前面の運転台側窓にはデフロスターが取り付けられた。また機関部もカバーで覆われており着雪に備えている他、車内の暖房もより強化されており、車内外共により北海道へと適用した車両といえる。ただし暖房能力は強化されたが車内はセミクロスシートといえど背ずりの低いもので、2軸台車と共に車内サービスの向上という面では改善されていない。側扉は中央に1か所、折り戸が設けられている。キハ03形は1956年度内に20両が製造されており、「レールバス」としては最多両数となった。因みに製造時はキハ10200形として製造されており、1957年の称号改正に伴い改番されている。キハ03形は主に道東・道北に配置され、天北線、根北線、標津線等のローカル線に使用された。一時は各線において主力車両として使用されたものの、総括制御ができないことで連結運転に多大な負担が強いられ、また折しも人口増加の時代には単行使用を前提としている同車では輸送が対応できなくなっていたこと、更にバス用車体のため老朽化が早かったことから、製造からわずか10年、1966年には全車廃車されている。この中でキハ03 1のみは旭川車両所に留置され、国鉄の「レールバス」唯一の現存車となった(キハ01・キハ02も1969年までには廃車されている)。同車は1967年に準鉄道記念物に指定されており、その後北海道鉄道記念館(現在の小樽市総合博物館)に静態保存された。

 2014,06,27 小樽市総合博物館
2017/05/31