821系
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 2018年登場。415系等の置き換えを目的に製造された、現時点でのJR九州では最も新しい電車であり、同時に製造されたYC1系ハイブリッド気動車と同様、「やさしくて力持ち」がコンセプトとなっている。817系やBEC819系同様日立製作所で製造されており、同社の手掛けるアルミダブルスキン構造である「A-Train」を引き続き採用している。デザインも引き続きドーンデザイン研究所が手掛けており、817系をベースとしているが、本系列では前面ライトが全てLEDとなった他、前照灯の周囲や外周部にもLED灯が配された特徴的なデザインとなっている。後述のハイバックシート採用のために側面の窓も高さが抑えられてた他、扉横にもLED灯が取り付けられており、総じて今までの通勤・近郊型車両には見られない外観となっている。なお、前面・側面とも行き先表示器は大型のフルカラーLEDとなり、特に側面は4か国語の標記の対応する。側扉は815系以来となる赤色に塗装された。編成は3両で、1M2Tの組成となっている。制御方式は主回路システムにフルSiCを用いたVVVFインバーター制御方式、電動機には全閉式の三相誘導電動機が導入されており、消費電力量は置き換える415系と比して70%程度の減少としている。機器類は二重化されており、万一の故障時に際し冗長性が確保されている。制動は回生ブレーキを併用した電気指令式ブレーキで、台車ごとにブレーキを個別制御する機構を本形式で初めて採用した。更に営業運転を行いながら車両、地上設備の状態を監視するシステムも初めて導入されている。なお、811系以降の既存形式とは併結が可能であり、快速運用での高速運転に備え、台車(ボルスタレス台車)にはヨーダンパを搭載する。車内はオールロングシートで、ハイバックシートが採用されている他、扉付近の座席はその他にヘッドレストも備えている。室内灯はLED灯で、他形式とは異なりスポット照明が導入されている。この他、305系やBEC819系でも採用された「スマートドア」や「マルチサポートビジョン」を引き続き採用している。821系は当初3連2本が製造され、2019年3月のダイヤ改正より営業運転を開始した。本数が少ないため限定運用が組まれ、大半が811系との併結によるものとなっていた。2020年のダイヤ改正に際して更に3連2本、2021年のダイヤ改正に併せて3連3本が増備され、現時点では3連7本の在籍となっている。2020年の改正では本系列のみの9連運用ができる、2021年では熊本県まで入線するようになるなどの変化があるが、基本的には引き続き限定運用が行われている。今後も増備の計画があり、北九州地区における新たな主力車両としての台頭が見込まれる。

 2019,11,03 二日市


2021/07/07