815系
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 1999年登場。同年の豊肥本線熊本〜肥後大津間電化開業による車両増備及び熊本・大分地区における急行型電車の置き換えを目的に製造された車両である。それまで製造されていた813系とは異なり、こちらは更なる軽量化を図りアルミ合金製の車体が採用されている。この車体は、日立製作所が開発した新たな製造技術である「A-Train」が日本の鉄道車両で初めて採用されている。アルミ押し出し型材を用いたダブルスキン構造を備え、内装をモジュール化し車体とは別に製造し車体に差し込める構造が特徴である。トイレ、乗務員室等も同様で別個製造されたユニットを車体に差し込む手法をとっている。この技術によりアルミ製車両の軽量化、強度向上及び製造時の部品数低減が図られ、性能向上に加え合理化と省力化を実現した。この「A-train」は以降の日立製作所製アルミ車両の標準となり、21世紀の時点では国内外で広く採用されている。車体デザインは引き続きドーンデザイン研究所が手掛けている。外装は側面が無塗装、前面がメタリック塗装を基本とし、扉や前面外周部、排障器が赤く塗装されている。編成は1M1Tの2両で、門司港方からクモハ815形、クハ814形という組成となっている。制御方式はIGBT-VVVFインバーター制御方式で、811系や813系にはなかった回生ブレーキを備えている。併せてブレーキチョッパ装置を搭載し、回生制動使用中にセクションを通過しても、再度回生ブレーキが作動するようになり回生率の向上がなされた。なお、主幹制御器は左手操作式のワンハンドルマスコンハンドル、集電装置はシングルアームパンタグラフが採用されている他、時速60km/h以上での定速運転機構を備えるが、いずれもJR九州では初の採用となった。制動は電気指令式ブレーキで、ブレーキ方式が同じ811系以降の車両とは併結が可能となっている。車内はオールロングシートで、セパレートタイプの座席が採用されている。ドア横の2席にはヘッドレストも備えられている。側窓は大型一枚窓となっており、UVカットガラスが採用されたためカーテンは備え付けられていない。前述の構造のとおり、トイレ及び運転室はユニット工法となっている。なお、外装とは異なり内側の扉(トイレ扉含む)は黄色に塗装されている。本系列の投入路線ではワンマン運転が計画されたため、当初より車内収受式のワンマン運転に対応し、対応機器類が搭載されている。815系は1999年のうちに2連26本が製造され、熊本・大分にそれぞれ配置された。以降の増備はないが、本系列で採用となった機構の多くが817系以降の車両にも受け継がれており、更に「A-train」を初採用したことからも、本系列はエポックメーカーといっても過言ではない。熊本所属車は鹿児島本線の鳥栖〜八代間(817系の代走で博多までの運転もある)及び豊肥本線熊本〜肥後大津間、大分所属車は日豊本線の中津〜重岡間でそれぞれ使用されている。

 2013,03,17 肥後大津


2020/05/27