787系
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 1992年登場。それまで特急「有明」として走っていた博多〜西鹿児島間の特急列車に特別な愛称をつけることになり、同列車に専属的に用いるべく、JR九州のフラッグシップ車両として開発された特急型車両である。愛称は後に「つばめ」に決まったが、この「つばめ」という愛称は戦前の超特急より続く由緒あるものであり、その愛称を引き継ぐにあたって相応しいと思える車両、当時4時間程度の所要時間がかかった博多〜西鹿児島間でも快適に移動ができる車両となるよう設計されている。なお、車両設計は水戸岡鋭治氏によるが、新造車両の開発を手掛けたのは本形式が初である。車体は普通鋼製を中心とし、部分的にステンレス鋼を採用することで腐食防止が図られている。前面は制御方式は783系と同じくサイリスタ位相制御が採用されているが、乗務員室にモニタ装置が設置されており、保守性の向上が図られている。車内は普通車、グリーン車の2クラス制だが、多様なニーズに対応するためいずれも複数の設備を有する。普通車は一般客室と4人掛けセミコンパートに2分されている。787系は側扉こそ一般的な車端部にあるが、中間にバゲージラックを備え半室構造に近い内装を実現した。普通車のシートピッチも1000o確保されており、フットレストや読書灯も完備したゆとりある内装となっている。グリーン車は3列席が1200mmピッチで展開する「オープンキャビン」をはじめ、「走る会議室」をコンセプトとした「トップキャビン」、独立した4人個室の「サロンコンパートメント」を備えている。また、比較的長距離を走行する特急に充当するにあたり供食設備が求められたことから、久方ぶりに客室・ビュッフェ合造車である「サハシ787形」も用意された。787系は1992年7月のダイヤ改正から特急「つばめ」として営業運転を開始した。本車が営業運転を開始した1992年は新幹線でも300系や400系といった新造車が営業運転を始めていたが、それらをおさえ1993年にブルーリボン賞を受賞した。同時期には大阪や関東にも展示用として貸し出されたこともあり、名実ともに九州を代表する車両に相応しい存在となった。以降も更なる車両増備により「つばめ」の他、「かもめ」「にちりんシーガイア」「有明」等九州内の各種特急列車に投入されていった(『つばめ』を除く各列車は充当されない時期もあった)。1999年から翌年にかけては特急「有明」に専属で用いられる4両の編成が登場したが、この際は車両新造のみならず中間車の先頭車化や編成短縮で余剰となった車両の転用などがなされている。最終的には2002年までに140両が製造され、JR九州の特急型車両としては最も両数の多い存在となった。なお、JR化後に製造された特急型車両としては初めて両数が100両を超えた形式でもある。787系が全車出揃った頃は九州新幹線の部分開業を控えており、「つばめ」を中心に用いられていた編成は新幹線リレー特急への転用を見据えてビュッフェ車の一般客室化を始めとしたリニューアルが施工され、2004年以降は「リレーつばめ」として運用された。その後もトップキャビンを改装の上DXグリーン車へ改める改造が2005年に施工される等の変化が生じている。更に2011年の九州新幹線全通後は「リレーつばめ」「有明」からの撤退と共に「かもめ」や「にちりん」「きりしま」等への転用がなされ、全ての編成がダークグレーの塗装に統一された。2023年の時点では主に長崎本線系統と日豊本線系統の特急に集約されており、両線区に於いて引き続きフラッグシップとしての活躍が続いている。

 2023,10,23 佐 賀


■Variation
 4連を組む編成は11編成存在し、もともと「有明」用に用意されたものだが、2011年のダイヤ改正以降は全編成とも大分に転属した。現在は「にちりん」「ひゅうが」「きりしま」と基本的に日豊本線を走行する特急列車に充当されている。2018年3月のダイヤ改正から4連を組む編成ではワンマン運転が行われており、それに先立つ形でワンマン運転に対応する機器類が増設されている。

 2018,11,24 南宮崎
2023/12/18