キハ47形或る列車
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 「或る列車」は、2015年8月から営業運転を開始したD&S列車の一つである。本列車は既存のD&S列車のように特定の地域・路線にフォーカスしたものではなく、時期により走行する線区を変えながら、車内でスイーツ、軽食を食せる「スイーツ列車」として、かつ既に運行を開始していたクルーズトレイン「ななつ星in九州」の雰囲気を味わえる車両として企図されている。本列車の由来となった「或る列車」は、かつて九州の鉄道網を建設した九州鉄道がアメリカはブリル社に発注した豪華客車を指す。落成前に国有化されたことで本来の用途での活躍がかなわず、長く幻の車両として扱われたが、著名な鉄道模型製作・収集家の原信太郎氏がその客車を模した模型を製作し、この模型を元にして、原鉄道模型博物館の副館長である原健人氏の監修、水戸岡鋭治氏のデザインによりキハ47形を種車に大規模な改造を施している。また、「或る」にはAmazing、Royal、Universalという言葉の頭文字という側面もあり、「素晴らしく豪華でかつ愛される」車両を目指すという意味合いも込められている。種車となったキハ47形は元々九州の車両ではなく、JR四国を廃車になったキハ47形の譲渡を受けたものである。元々JR四国のキハ47形は原型のエンジンを搭載していたが、改造に際し機関換装がなされており、後述の形式変更に加え、エンジン換装に伴う車両番号の改番がなされている。また、本格的な供食設備を備えることもあり、発電用のエンジンが追設されている。1号車のキハ47形は「指宿のたまて箱」で採用された可変減衰上下動ダンパが搭載されており、走行時の振動軽減に寄与している。なお、2号車は寒冷地向けの500番台が種車であり、空気バネ台車を搭載している。本車両はキハ40系列では初めて食堂車扱いとなったが、形式はグリーン車を併設した扱いの「キロシ47形」となっている。「キロシ」という車両形式は初めての設定である。原信太郎氏の模型が主に真鍮で造られ、特別な塗装は施されていなかったこともあり、本車もそれにならい金色を基調とした塗装となっている。正面下部には唐草文様があしらわれているが、これは北九州市の「鎚絵」というモニュメント制作会社が真鍮版とステンレス板を用いて手掛けている。側面もエンブレムの他、様々なオブジェがかたどられており、また側窓周りも元となった模型のような造形が施されるなど、総じて豪華絢爛な外装となっている。また、前照灯は表示器の上部にも1灯増設されている他、側扉は片側が埋められ、各車側扉は1か所になっている。車内は1号車(キロシ47-9176)がメープル材を用いた内装となっており、大型テーブルを備えた2人掛け、4人掛けのボックスシートが展開する。天井は格天井となっており、色調は異なるがななつ星のラウンジカー「ブルームーン」に類似した印象である。2号車(キロシ47-3505)はウォールナット材を用いた内装となっており、しなの鉄道の「ろくもん」にも見られるような、座席周囲を組子による仕切りで囲った個室調となっている(各ブースの定員は2名)。仕切りや窓周りの意匠には福岡県の伝統工芸である大川組子が取り入れられている。1号車後位側車端部は供食設備を備えたカウンター、2号車後位はドリンクサーバーを兼ねたカウンターがそれぞれ設けられている。サニタリースペースは既存のものを撤去し、2号車の乗務員室背後に車椅子対応の大型トイレを設けた。カウンター前等の通路部分は大川組子とステンドグラスをあわせた装飾が施されており、「或る列車」という名に相応しい、また「ななつ星」と比較しても劣らない車両となっている。本列車は「スイーツ列車」として企図されていることから、営業運転開始当初はスイーツを中心としたコースが提供されていたが、2021年からは本格的なコース料理が提供されており、一貫して南青山のレストラン「NARISAWA」の成澤由浩氏が監修している。前述のとおり本列車は特定の沿線のみを走行するD&S列車ではなく、時期により走行線区を変えながら、九州全域で運行されている。

 2016,11,13 長 崎


2025/01/18