443系
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 443系は1975年に製造された、架線・信号検測用の交直流検測車である。クモヤ443形とクモヤ442形の2両で1編成を組み、2編成が製造された。このうち1編成は、クモハ51形改造の架線検測車クモヤ492・493の老朽置き換えも兼ねている。前面形状は当時製造が進んでいた485系300番台に準じたもので、灯具・タイフォンの配置はほぼ同一である。塗装は当時の交直流電車と同じ、小豆色とクリーム色のツートンカラーとなったが、塗装パターンは同時期に製造されたキヤ191系に準じたものとなっている。走行性能も485系に準じており、駆動方式は中空軸平行カルダン駆動、主電動機はMT54形の派生形を搭載し、勾配抑速ブレーキも備えている。443系は車両により検測箇所が異なり、それぞれ異なった仕様となっている。クモハ443形は架線検測に用いられており、全体的に低屋根構造となっている点が特徴である。観測用ドームや架線を照らす照明を屋根部に備えている他、一般的な分散型冷房装置の場合は検測に支障をきたることから冷房装置を床置き式としている。このため、クモヤ443形のみ冷房装置用のルーバーが設けられている。前位側には検測用の集電装置を備えるが、国鉄型車両には珍しく下枠交差型パンタグラフが採用された。なお、かつては後位側にも同様の集電装置を備えていた。クモヤ442形は主に信号検測用の車両で、計測用機器を搭載するほかミーティングルームが設けられている他、トイレ・洗面所もこの車両に備える。架線検測のように屋根上を検測する機能はないことからこちらは分散型冷房装置が搭載されているが、パンタグラフ部分のみは低屋根化されている。443系は第1編成が勝田、第2編成が向日町に配置され、分割民営化後はそれぞれJR東日本、JR西日本に継承された。第1編成はE491系に置き換えられ2003年に廃車されたが、第2編成は現在も京都に在籍しており、キヤ141形の登場で信号検測からは外れているがJR西日本のみならずJR四国・JR九州や肥薩おれんじ鉄道にも乗り入れ、架線検測に充当される。今や数少なくなった国鉄型車両であるとともに、国鉄の交直流車両の塗装を現在まで堅持しているという意味でも非常に貴重な存在といえる。

 2016,11,13 長 崎


■Variation
 架線検測を主に行うクモヤ443形。前位側に下枠交差型パンタグラフを備え、全て低屋根構造となっている。また、機器搬入の扉はあるが乗降用の扉は設けられていない。

 2016,11,13 長 崎