285系
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 1998年登場。従来寝台特急に使用されていた14系・24系客車は車両の老朽化とともにサービスが陳腐化し、寝台特急自体の斜陽化が進んでいた。この現状を打開し寝台特急の新たなニーズを打ち出すべく、久しぶりに新型車両を開発する事となった。そしてJR東海とJR西日本の共同開発によって製造された車両が285系であり、583系以来となる「寝台電車」となった。車体は普通鋼製で電動車を除き2階建て構造となっており、居住空間を最大限にとる工夫が凝らされている。前面形状としては583系と同様運転台を高所に配置してあり、分割併合を前提とすることから貫通扉を備えている。本形式は「サンライズエクスプレス」という愛称が付けられ、それにより車体塗装は従来の「青系」ではなく、朝焼けをイメージしたベージュと赤をベースに、金のラインが配されるというそれまでにないものが採用されている。定員が少なく静粛性が求められることから編成は2M5Tの7連となり、制御方式もより静粛性の高いIGBT-VVVFインバーター制御方式が採用されている。583系が昼夜兼用であったのに対しこちらは夜行列車専用となり、居住性・プライバシー確保の観点から車内は5号車を除いて全て個室となったが、ミサワホームとの共同設計によって、木目調パネルを多用した温もりのある客室を実現している。B寝台の「ソロ」「シングル」「シングルツイン」「サンライズツイン」、A寝台の「シングルデラックス」という5種類の個室が用意され、車両によって設置されている個室の種類が異なる。また5号車は「ノビノビ座席」という2段式のカーペットカーとなり、同車のみ指定席特急券の追加のみで乗車できるようになり、リーズナブルに横になって移動できるようになった。285系は7連5本(うちJR東海が2本、西日本がJR3本保有し、JR東海車も管理や検査はJR西日本に委託)が製造された後1998年7月より営業運転を開始し、「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」として東京〜高松・出雲市間に導入された。このうち岡山までは両列車を併結することとなり、機関車牽引では煩雑だった増解結の効率化も実現している。2008年までは予備編成を使用した東京〜広島・下関間の臨時特急「サンライズゆめ」や「サンライズ瀬戸」の松山までの延長運転が行われていたが、近年はそれらの設定がない代わりに予備編成が団体臨時運用に投入される機会が増えている。「サンライズエクスプレス」は製造から15年経つ現在も夜行列車としては比較的高い乗車率を誇っており、唯一残った東京発着の定期夜行列車として日夜活躍している。なお、2014年から2016年にかけて全編成を対象にリニューアルが施工されており、外観ではパンタグラフの増設、内装では内装材の貼り換えやトイレの完全洋式化、自動放送装置の新設などが行われている。

 2008,08,10 広 島