12系奥出雲おろち号
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 「奥出雲おろち号」は、木次線の沿線活性化・利用促進を図る目的で1998年に営業運転を開始したトロッコ車両である。専用塗装を纏うDE10形・DE15形が牽引機となり、客車は12系が改造されている。編成は備後落合方からスハフ13-801、スハフ12-801、機関車という構成になっており、それぞれ青・白・灰色の3色を配した塗装で、3両合わさると連続した模様となるにようになっている。スハフ13-801はトロッコ車両となっており、既存の内装・後部側扉を撤去のうえ、窓を取り外したオープン構造となった。床材・座席には不燃化木材が使用され、照明はカンテラ調となるなどトロッコ車両特有の内装に改造されている。なお、天井部分には、トンネル走行時に点灯する「おろち」をかたどったイルミネーションが設置されている。3段式スイッチバックを備える木次線の路線特性もあり、備後落合方には半室構造の運転台が新設され、同車が先頭となる際はこの運転台より機関車を制御できるようになっている。同車はJR西日本の車両としては初の本格的なペンデルツーク方式の車両であるが、車両形式には制御車を意味する「ク」は用いられていない(翌年登場した「きのくにシーサイド」も、同車同様に制御車がオハフ13形とされている)。これにより先頭部には前照灯・尾灯・スノープラウが備わった。なお、前面窓は運転台部分のみHゴム固定の固定窓、残りは開閉可能の2段窓となっている。スハフ12-801は悪天候時等における避難車両という位置づけであり、スハフ12-3001から改造されている。この車両は1991年に夜行急行のアコモデーション改良を目的に、座席を485系発生品の簡易リクライニングシートに改座していたもので、内装を殆ど変えないまま「奥出雲おろち号」に転用された。窓下部分が木目調、妻部・扉が茶系になり、座席間に木製の小型テーブルが取り付けられる等の改造が施されているが、概ね夜行急行で活躍していた当時の姿を色濃く残している。「奥出雲おろち号」は、基本的には他客期を中心に木次〜備後落合間を1日1往復するが、運転日により松江始発隣り、臨時列車として三次、広島まで乗り入れたこともある。なお、2010年以降は日曜日を中心に出雲市始発となることが多い。

 2018,06,16 木 次


■Variation
 木次方に連結されるスハフ12-801。元は急行「ちくま」「だいせん」で使用されていたアコモ改良車のスハフ12-3001である。塗装変更などは行われているがスハフ13-801程の改造は施されておらず、往年の客車の姿を今に伝える貴重な車両となっている。

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