モニ30形
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 モニ30形にはモニ30・モニ31の2両が在籍していたが、生い立ち・用途は全く異なっている為解説を分ける。

 モニ30号車は1952年、伊予鉄道古町工場で製造された、全長5.6mと非常に小柄な電動貨車である。当時廃車となっていた2軸車両の台車や手持ちの電装品を用いて製造されたもので、当時は木造車体が取り付けられていたが1960年代初頭になり現在の鋼製車体へと換装されている。パンタグラフは当初ポールであったが、車体換装と同時にZパンタへと変更されている。当初は客車牽引の任もあたったが、客車列車が全廃した後は専ら古町工場内の入れ替え動車となった。鉄道線用の連結器を設けておらず、その入れ替えは車両を「押して」行うという非常に古典的な手法を取った。1990年になると入れ替え用のアントが導入されたことにより余剰となり、以降は古町車庫の片隅に留置される日々が続いた。ただしすぐに廃車にはならず、2007年に籍を抜かれるまでは車籍を有していた。現在は栃木県の那珂川清流鉄道保存会で保存されている。

 モニ31号車は市内線の花電車に使用する為に導入された車両で、1971年に譲渡を受けた土佐電気鉄道300形1両を改造したものである。改造に際しては、前面部を除き台枠より上の部分が撤去されており、側面に柵が、車体中央にパンタグラフ搭載用の柱が設けられるだけという非常にシンプルな車体となった。当初は花電車として使用されたもののその機会は少なく、末期は車庫の片隅に留置され続け、結局2006年に廃車解体されている。

 2005,08,09 古町車庫★