ケーブルカー
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 現在神戸すまいまちづくり公社が運営する摩耶ケーブルは、阪急王子公園駅に比較的近い摩耶山の山麓と中腹を結ぶ鋼索路線で、麓側の摩耶ケーブル駅と山上側の虹の駅の間凡そ960m、高低差312mを結んでいる。摩耶鋼索鉄道により1925年に開業したが、当初は忉利天上寺への参詣路線という位置づけが強かった。他の鋼索線の御多分に漏れず1944年からしばらくは営業が休止され、線路も供出されているが、1955年に営業運転を再開した。この際、山上部で接続するロープウェーが開業し(当初は神戸市交通局運営、現在は神戸すまいまちづくり公社の運営)、参詣のみならず摩耶山全体の観光輸送も比重を占めるようになった。1975年には近隣の六甲ケーブルを運営する六甲越有馬鉄道と合併し六甲摩耶鉄道となるが、1976年の忉利天上寺焼失により参詣者輸送がなくなり、更に1995年の阪神淡路大震災では6年という長期間にわたり運休を余儀なくされている。2001年の営業運転再開に際して運営母体が神戸市都市整備公社に移り、摩耶ロープウェーとともに、「まやビューライン夢散歩《という愛称がつけられ、再び摩耶山・六甲山観光の足として機能するようになった。その後乗客数等の問題から公社の経営撤退も示唆されたが、結局公社所有による存続が決まり、合わせて1955年の路線再開以降、震災も乗り越えて使用されてきた先代車両の老朽化から2012年から翌年にかけて車両更新を含めた大規模改良工事がなされることとなった。同時期に公社吊が現在の「神戸すまいまちづくり公社《に変更され、現在に至っている。なお、摩耶ロープウェーも含め2007年から一部期間を除き毎週火曜日は運休日となっている。

 現在使用されている車両は前述のとおり2013年の車両更新に際し阪神車両メンテナンス(旧武庫川車両工業)で製造されたものである。新型車両ではあるが、台枠やブレーキハンドルは先代の車両のものを流用しており、デザインも「神戸の文化的遺産として永く後世に引き継いでいく《という目的から先代車両に類似したものとなった。車両はマヤラン(摩耶蘭)をイメージしたマゼンタを基調に王子動物園の動物が描かれた「ゆめあじさい《と、沿線に生息するモリアオガエルをイメージしたグリーンを基調に六甲山牧場の動物が描かれた「にじあじさい《に分かれるが、いずれも旧車両が末期に纏っていた塗装及び愛称をそのまま継承している。なお、先代車両では麓側も山上側と同じように灯具は窓上に配置されていたが、現行車両では眺望性向上を図り麓側の前面には天窓が設けられ、それにあわせ前照灯・尾灯とも窓下に設けられている。この点は形状の差異はあるが、近鉄コ7形に類似しているといえる。同車では、車内照明などのサービス電源は内蔵した蓄電池により賄うこととなった。これにより、走行区間からは架線が撤去されており、眺望性の向上につながっている。駅においては剛体架線を設置しており、パンタグラフを介し充電を行っている。このパンタグラフはシングルアームパンタグラフとなっており、山上側に1基取り付けられている。車内はクロスシートで、大半の座席が下向きに配されており、従来車両に比べて背ずりが拡大されている。座席モケットは車両の外装に合わせられており、「ゆめあじさい《が赤系、「にじあじさい《が緑系となっている。側扉は折り戸であり旧車両と同じだが、こちらは自動ドアが採用されている。立ち客に配慮し、天井部には掴み棒が取り付けられており、照明はその上に設置され、間接照明となっている。なお、車内照明・前照灯・尾灯のいずれもLED灯が採用されている。旧型車の面影を多分に残しながらも数々の新機軸を導入した現行車両は、2013年3月30日より営業運転を開始している。今日も摩耶山・六甲山へのアクセス手段として使用されている。

 2015,11,22 摩耶ケーブル


■Variation
 「ゆめあじさい《の麓側前面。こちらは前照灯・尾灯が窓下に設置されており、上部には天窓が設けられ眺望に配慮されている。この点は旧車両とは異なる点の一つである。

 2015,11,22 摩耶ケーブル
 「にじあじさい《という愛称のつけられたもう1両は、緑基調の塗装を纏い、六甲山牧場にいる動物のイラストが描かれている。外装のみならず、座席モケットも緑基調のもので統一されている。

 2015,11,22 虹の駅
 「にじあじさい《の麓側。こちらも前照灯・尾灯は下部に設けられ、上部には天窓が設けられている。

 2015,11,22 摩耶ケーブル
2016/11/24