セキ6000形
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 セキ6000形は1966年以降に日本車輌で製造された石炭車である。石炭輸送の更なる効率化を図り、当時の釧路臨港鉄道と日本車輌が共同開発した自社発注の貨車であり、日本の貨車としては唯一、2車体3台車の連接構造が採用されている。同車は輸送効率化を図り、側扉の開閉や編成の分割を、機関車からの遠隔制御で自動的に行えるようになっている。このため車両間は電気連結器付き密着自動連結器で結ばれている。石炭の積み込みはベルトコンベヤを用いて自動的に行われており、車両間にも受け皿を設けることで石炭の落下を防いでいる。現行の運用方法は、春採駅構内で石炭を積載し、機関車を前後に連結して貨車24両で知人駅まで向かい、知人駅手前で貨車12両ずつに自動解放し、その状態で知人駅構内の異なる2線(高架線、高架下には貯炭場がある)に入線し、それぞれ機関車からの操作で貯炭場に石炭を落とし、再度連結のうえ空車状態で春採駅まで返送される、というものである。この手法は「シャトルトレイン」と呼ばれており、太平洋石炭販売輸送における貨物輸送最大の特徴ともいえる。同車は1987年までに14組28両が製造されており、国鉄連絡輸送などその他の貨物輸送がなくなって以降は、同車を用いた「シャトルトレイン」が貨物輸送の全てとなっていた。日本国内で2010年代まで生き残った唯一の石炭車であり、前述の連接貨車である点も含めて非常に稀有な存在であった。2019年の路線廃止後も機関車とともに旧春採駅構内に留置されていたが、最終的に全車とも2022年に解体されている。

 2014,06,29 春 採


2023/02/28