9000系
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 1996年登場。1995年1月の阪神淡路大震災では石屋川車庫に留置していた車両を始め大きな被害が生じ、特に急行用車両については全線復旧後も震災前と比べて30両車両が不足する事態となった。この当時阪神電鉄では系列の武庫川車両で車両を製造していたが、普通用の5500系の新造も行う中で30両もの車両を同時に製造することはできず、近隣の川崎重工に外注することとなった。これにより製造された車両が9000系である。車体は川崎重工がJR209系向けに開発していた「2シート工法」と呼ばれるステンレス製で、期せずして5201系「ジェットシルバー」以来のステンレス製車両となった。制御方式は5500系と同じくGTO-VVVFインバーター制御方式で、急行用車両としては初めてのVVVFインバーター制御車両となった。なお、急行用車両のため歯車比は5500系に比べ低く設定され、台車、主電動機等もより高速運転に適したものが採用されている。車内は同時期に製造された5500系や8000系後期車に準じたもので、バケットタイプのロングシートとなっている(モケットは急行用車両のため赤系とされた)。扉鴨居部には、車内案内表示器がマップ式のものとLED表示式のものがそれぞれ千鳥配置された。なお、車内の貫通路については8000系のものと比べて120o拡大している。前述の目的のために9000系は6連5本の30両が製造され、1996年3月のダイヤ改正に合わせて営業運転を開始した。1998年の直通特急運転開始に際しても8000系と共に充当され、9300系登場までは阪神の最新鋭急行用車両として、また震災復興のシンボルとして活躍した。その後2009年の阪神なんば線延伸開業及び近鉄奈良線との直通運転に際しては、これに合わせて製造された1000系と共に直通運転に抜擢され、2008年より近鉄への直通対応化工事が施工された。これによりカラーリングが1000系に近いものになると共に、行き先表示器のフルカラーLED化や、正面貫通扉及び難波・奈良方の排障器、主幹制御器の換装、電気連結器の装備等が行われて印象が大きく変わっている。また内装面でも、モケットの張替えやマップ式案内表示器の廃止、機器箱の増設などの変化がみられる。2009年3月のダイヤ改正以降は基本的に1000系と共に近鉄直通運用主体となっているが、時折直通特急等の運用に就くこともあり、山陽姫路〜阪神梅田・近鉄奈良間という広範囲に渡って活躍している。

 2018,09,24 尼 崎


■Variation
 近鉄直通対応前の9000系。当時は赤と白の帯を巻き、種別・行き先表示共に幕が採用されていた。なお、集電装置も下枠交差型であったが、集電装置のシングルアームパンタグラフへの換装は直通運転対応時ではなく2016年以降に行われている。

 2008,03,13 大 物