5311形
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 1968年登場。普通電車のラッシュ時4連運転開始に伴い、それによって起こり得る車両不足を補うために作られた、1両単位での走行が可能な普通電車用車両であり、4両が製造されている。登場時の車両性能は前年に製造された5261形に準じたものとなっているが、車体はむしろ急行用の3521形が基本となっており、袖部が曲がっていない点が特徴となっている。前述の通り単車でも走行可能なつくりとなっており、登場当時はその特性を活かし、時間帯によって車両を組み直して編成両数を変えるなど柔軟な運用をこなしていた。また、車内が無塗装化されたのは本形式が最初であり、増結用という比較的地味な車両ながらもその後の車両の礎となっている。登場当初は抵抗制御方式であった5311形だが、1980年より電機子チョッパ制御方式への更新が行われた。これは試作的意味合いが強いものであり、この5311形での試用を元に5131形・5331形が製造された。既に3両編成での運用がなくなっていたことから、この更新と同時に2両固定となり、冷房化・パンタグラフの換装もなされているが方向幕は取り付けられないまま後年まで至っている。長きにわたって阪神本線・西大阪線の運用に従事していたが、1999年に2両が廃車され、以後は残りの2両が5131形と組んで活躍していた。21世紀を迎え、唯一残った方向幕非設置車両として貴重な存在となっていたものの、登場から40年が過ぎた2010年に後継の5550系が竣工した事に伴い、惜しまれつつ廃車された。

 2009,03,18 甲子園