9300系
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 2003年登場。従来、京都線における特急列車はその大半を専用車6300系が充当していた。しかし停車駅の増加に伴い乗降客が増加すると、2扉であった6300系では遅延を誘発する要因ともなっていた。車両自体の陳腐化も進んでいたこともあり、6300系の置き換えを目的に3扉の新型特急用車両を投入することとなり、製造された車両が9300系である。車体は8300系についでアルミ車体が採用されているが、こちらは同形式のデザインを継承しつつ、日立製作所が手掛けるアルミ車製造技術である「A-Train」が採用されている。側扉は1車両3か所に増加したが、特急主体の運用に就く車両らしく側窓は連続窓が採用されており、UVカットガラスを採用した複層窓となった。6300系とは異なり車体寸法は京都線で採用されている標準的なものとなり、堺筋線への入線も可能としている。制御方式には阪急の車両としては初めてIGBT-VVVFインバーター制御方式が採用され、制御装置は京都線の伝統といえる東洋電機製となっている。主電動機の定格出力は200kwと強力で、これにより8両編成で3M5Tと、電動車が付随車より少なくなっている。車内は車椅子スペースが設けられた車端部がロングシートである以外はすべてクロスシートで、扉間は転換クロスシート、車端部はボックスシートとなっている。マホガニー調の化粧板に緑色のモケットという阪急の伝統を引き継いでいるが、こちらはより深みのある色合いとなり、間接照明の採用もあり全体的に高級感のある内装となった。扉鴨居部の車内案内表示器は、初期の3本はLED表示器が採用されたが、以降の編成は神宝線用の9000系にあわせて15インチサイズの液晶表示器2基が千鳥配置された。9300系は2003年10月より営業運転を開始し、京都線における新たなフラッグシップとなった。当初は1本のみの陣容であったが、2005年以降再度増備が開始され、最終的には2010年までに8連11本が製造され本線系統の6300系を順次置き換えた。基本的に日中は特急で使用されるが、3扉車両である特性を活かし、朝夕を中心にそれ以外の種別でも用いられる。なお、大阪梅田方に電気連結器を備えており、電気指令式ブレーキを搭載している京都線車両とは相互に併結が可能(実際に一時期は10連での運用も存在した)だが、本系列の運用は京都線に限定されており、千里線や地下鉄堺筋線に乗り入れる運用には原則として就かない(因みに本車登場から20年経過した2023年になり、初めて千里線で営業運転を行っている)。

 2013,07,21 相 川


■Variation
 2003年、最初に製造された9300F。2005年までに製造された3編成では行き先表示器に幕が採用されていた。また、側窓の高さが1040oかつ全て固定窓となっている点も特徴の一つである。なお、9300Fではこの他にも前照灯の形状がやや異なるなど、他編成とは異なる箇所が存在する。

 2008,03,13 上新庄
2023/02/26