オハフ500形
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 1984年に国鉄樽見線を転換して開業した樽見鉄道では、レールバスが旅客輸送に中心となっていたが、レールバスは輸送力が小さく、そのため朝の通学輸送では輸送力の不足が懸念された。折しも樽見鉄道では貨物輸送を行うことから(2006年までに全廃)、その機関車を活用し国鉄から譲り受けた客車を用いた列車も走らせることとなった。この目的で、国鉄を廃車になったオハフ33形を改造した車両がオハフ500形である。譲渡に際しては一部貫通幌の撤去や安全性向上の為にデッキ部への柵の取り付け、洗面所及び水タンクの撤去・トイレの閉鎖等が行われている。当初は塗装が他のレールバスと同じく青地に赤と白のラインが入ったものへと変更され、異彩を放つ存在であった。尚、機関車にSGが搭載されていなかったことから、津軽鉄道のストーブ列車と同じく冬季暖房用にストーブが備えられたが、こちらは石炭ストーブではなく石油ストーブとなっている。開業からしばらくは2両の陣容であったが、1989年の神海〜樽見間延伸開業に合わせて国鉄清算事業団より譲渡された2両が追加され、4両の陣容となった。尚、初期導入の2両は戦後製の車両であったが後期導入車は戦前製であり、形状が一部異なっていた。また、この前に塗装が茶色に赤帯のまかれた国鉄時代に近い塗装へと塗り替えられている。全線開業後は通勤通学輸送の他淡墨桜などの観光輸送にも使用され、新たに製造された客車「うすずみ1形」を連結しての走行も見られた。第3セクター鉄道が旧型客車を定期運用に充当するという事例は現在に至るまで非常に珍しく、その点においても貴重な存在であったが、元々旧型客車であるが故に老朽化が進んでいたこと、また扉が手動式であり安全性でも問題が生じていたため、1990年の桜ダイヤ(樽見延伸後は同駅最寄りの天然記念物「淡墨桜」の開花シーズンに合わせて特別ダイヤを組むようになった)を最後に元JR50系の800形・JR12系の1000形へと置き換わることとなり定期運用を離脱した。1両はその後も予備車として残存したものの、結局1992年に廃車されている。現在はオハフ502号車が谷汲口駅前に静態保存されている。

 2012,12,23 谷汲口