3000型(名古屋市電)
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 1944年登場。戦中期の工員輸送における輸送力増強を目的に製造された車両で、名古屋市電の車両としては1941年に製造された2600型に次いで2例目となる2両連接車両である。この時期は資材の不足が目立ったものの、名古屋市は軍需産業の重要拠点であり、それに伴う工員輸送も重要視されたたため、特別に資材を優先的に割り当てられて製造されたものである。2600型では連接台車が高床台車、前後の台車が低床台車であり車内に大きく傾斜がついていたが、こちらは全て低床台車とすることで車内の傾斜をなくし、連接車ながらフラットな車内を実現している。これにより側窓の大きさも統一されており、一部窓の大きさが異なっていた2600型に比べすっきりとした外観となっている。ただし当初は機器類が不足しており、大半の機器類は旧型車の廃車発生品があてがわれていた。3000形は1944年10月に一挙に2連10本が製造されており、輸送力の多さから戦中期には工員輸送、戦後は輸送力の多い路線で通勤輸送を中心に活躍した。因みに3000型の付番方法は2両1組で同じ車番を付与するものであり、例えば第1編成であれば2両とも3001号車と付けられていた。後年になり前照灯の位置変更(当初は方向幕上部に取り付けられていた)や機器換装等の改造がなされつつ通勤輸送の主力車両として活躍した3000型だが、地下鉄の開業などによって路線が縮小すると次第に活躍の場が少なくなり、最終的には1970年に全車廃車されている。現在は3003号車のみ静態保存されている。

 2012,12,22 市電・地下鉄保存館